昨日は、わたしの人生のなかでも有数の感動の日になりました。
わたしのピアノが、13年ぶりに戻って来たのです。
10代の終わり頃、シンセサイザーやエレクトリックピアノで自宅録音をしたり演奏することが多く、生のピアノはほとんど弾かなくなっていたので、ならば、と、まだ小さかった高知の親戚に譲ったのでした。
時を経て、わたしも母になり。
もうすぐ一歳になる娘に、本物のピアノを与えたいと思うようになって、
ふと、あのピアノのことを思い出し、今更ものすごく恋しくなって、聞いてみたら。
親戚も大人になって、ピアノはもう弾かれることなくホコリをかぶっているとの情報が。
ではぜひわたしの元へ!とお願いして
はるばる高知から横浜の自宅へ、昨日の朝届いたというわけです。
久しぶりの再会は、感激で言葉にならなかった。
最初、業者の方がトラックからイスをおろしている時に、
すでに涙が溢れて大変なことに。
懐かしい、思い出の、わたしのピアノ。
ゆっくりと我が家へ運び込まれる間中、泣きっ放し。
そしてリビングにどっしりと設置されたのは、
わたしが三歳のときに父が買ってくれた
チョコレイトみたいな、あのピアノでした。
あんなに新品ピカピカだったのに
相当古くなっていた事に驚きを隠せなかったけど…
一気に思い出が蘇って。
今までに習った3人の先生のこと、発表会のこと、
毎日夢中で弾いていた幼い日々のこと。
思春期に曲を作り始めたこと、
やがてピアノなんて大嫌い!と、その延長で手放してしまったこと…
切なさと申し訳なさと嬉しさとが入り交じって、なんかものすごくたくさんの種類の感情が一度にうわっと押し寄せすぎて、頭がぼわーっとして痛くなるほど。
もう、これからはずっと一緒。
毎日ピカピカに磨いて
一生大事に、する。
そう心に決めて。
厳かにふたを開けて、まず一番最初にこのピアノを弾いたのは…
彼女でした。
最初の一音は、"C"の音。そのあと、水を得た魚のように鍵盤を叩きまくる娘。
いい記念。
感慨深い、懐かしい、優しい、まあるい、音がしました。
普通のピアノよりタッチが重く、癖があるのが特徴みたいで
でもものすごくその感じが懐かしくて、そうそう、これ、これ!と、
覚えている限りのピアノ曲を、習ったクラシック曲を、がんがん弾きまくるわたし。
調律がめちゃくちゃに狂っていて耳がおかしくなりそうでも、気にしない。
意外と弾けるんだなあ。
体が覚えていることに、びっくりしながら。
早速新しい曲のかけらができてしまった。
そして、我が家のスタジオに入倉氏との録音仕事でちょうどやってきたこの方、
天才ピアニスト、”ヒロ櫻田”にも、いっぱい弾いてもらいました!
うわー。ヒロくんに弾いてもらったら、ピアノが上手になる神様が宿ったような気がする!
ありがとう。
一夜明けて、早朝5時。
昨日のことが夢じゃなかったか、リビングへ走ってピアノの存在を確認。
「おはよう」
そっと声をかけてみました。
これから長い人生を共に、大事に、奏でてゆきます。
おかえり、
ピアノ。